箆柄暦『八月の沖縄』2017


箆柄暦『八月の沖縄』2017
2017年8月1日発行/172号

大城美佐子「加那よー/片思い」
この夏、THE SAKISHIMA meetingが熱い
「オリオンミュージックフェスト」
山城知佳子『土の人』写像展
舞台公演『Ship of the Ryukyu』9月開幕
よしもと沖縄花月、とまりんで8/10より公演再開
早耳 テオ・ヤンセン展覧会 in 沖縄
早耳 石川真生写真展「大琉球写真絵巻(1-4)」

 

 

 

 

 

《Piratsuka Special》
『ウチナー・ラヴソング』

旬の女性唄者六人が歌う、珠玉のラヴソング。。

 沖縄民謡や琉球古典音楽の世界では、昔も今も男女の恋愛をテーマにした楽曲が数多く作られ、人々に広く愛聴・愛唱されてきた。そんな〝沖縄の恋の歌〟の中から、女性が男性に寄せる思いを歌ったラヴソングを選び、六人の女性唄者の共演で収録した二枚組アルバム『ウチナー・ラヴソング』が、8月2日にリスペクトレコードからリリースされる。

 本作に参加したのは、沖縄で活動する女性唄者の長嶺ルーシー、石川陽子、山城香、堀内加奈子、新垣恵と、ロンドン在住のMINAの計6人。沖縄在住の5人は、いずれも民謡界では若手とされる世代ながら、確かな演奏力と豊富な経験を併せ持ち、県内外でライブを行ったり、唄三線の指導に携わったりしてきた実力派ばかりだ。また、MINAは日本人の母を持つスイス人で、学生時代の沖縄留学を機に民謡に親しみ、現在はロンドンを拠点に唄三線に取り組んでいる。言ってみれば皆、女性唄者としてもっとも脂の乗っている旬のアーティスト達であり、年齢的にも実力的にも、恋する女性の心情を表現するにふさわしいメンバーであるといえる。

 そんな彼女達が歌うラヴソングは、沖縄で長きにわたり歌い継がれてきた琉球古典音楽や沖縄民謡の名曲から、戦後に生まれた新作民謡のヒット曲まで、全十九曲。

 DISC1には各自のソロが3曲ずつ収録されており、それぞれに異なる6人の歌声や歌い回しの魅力を、たっぷりと味わうことができる。収録にあたり、6人は異口同音に「歌詞の意味を考えて、恋している気持ちを想像しながら、心を込めて歌いました」と語っていたが、その言葉通りどの曲からも、恋に身を焦がす女性の切ない思いと色香がしみじみと伝わってきて、聴きごたえは十分だ。

 そしてDISC2には、全員参加のメドレースタイルで沖縄民謡のスタンダード曲「ナークニー〜カイサレー」を収録。今回の録音で選曲と唄三線の指導を担当したベテラン唄者の喜久山節子は、「この曲は毛遊び(※)の歌だし、みんな歌い方が違って当たり前。そのほうが面白いから、あえて細かく指導せず、歌いたいように歌ってもらった」と述べていたが、実際にこの曲では6人の個性がよりくっきりと際立ち、掛け合いを通じて互いの歌唱を引き立て合っているさまを楽しむことができる。ソロと併せ、じっくりと耳を傾けたい1曲だ。

 そんな名演が揃った『ウチナー・ラヴソング』、CDのリリースに続いて8月27日(日)には、都内のライブハウスで発売記念ライブも開催される。当日は六人の唄者全員が出演するので、ぜひ会場に足を運び、珠玉のラヴソングの生歌に酔いしれよう。
(取材&文・高橋久未子/撮影・喜瀬守昭)

 

石川陽子(いしかわ・ようこ、後列左)
沖縄県伊平屋島出身。学生時代を大阪で過ごし、20代で沖縄民謡を学ぶため帰沖、大城志津子に師事。現在は沖縄民謡の指導者としても活動中。

MINA(みな、後列中央)
スイス人の父と日本人の母を持ち、スイスで育つ。大学時代の沖縄留学で三線に出合う。現在はロンドンを拠点に、ライブ活動や唄三線の練習に取り組んでいる。

長嶺ルーシー(ながみね・るーしー、後列右)
ペルー出身の沖縄系移民三世。幼少から沖縄民謡に親しみ、1994年に来沖して本格的に唄三線を学ぶ。現在は唄者として幅広く活動中。

堀内加奈子(ほりうち・かなこ、前列左)
北海道函館市出身。唄三線に惹かれ沖縄に移住し、大城美佐子に師事。県内はもとより、県外や海外でも積極的にライブ活動を行っている。

新垣恵(あらかき・めぐみ、前列中央)
沖縄県豊見城市出身。県外生活や中国留学をきっかけに沖縄の文化的独自性を強く感じ、三線を始める。現在「女性地謡の会しほら」でも活動中。

山城香(やましろ・かおり、前列右)
大阪市大正区生まれ、沖縄育ち。港川繁、喜久山節子に師事。2011年に琉球民謡協会で最高賞を受賞し、2015年に同協会で教師免許を取得。

LIVE
『ウチナー・ラヴソング』アルバムリリース記念コンサート 
出演:長嶺ルーシー/石川陽子/堀内加奈子/山城香/新垣恵/MINA
日時:2017/8/27(日)17:30開演
会場:代官山UNIT 03-5459-8630
料金:前売指定席4,800円・立見4,300円
   当日指定席5,300円・立見4,800円
   ※1ドリンク別途、立見は整理番号付

『ウチナー・ラヴソング』
リスペクトレコード RES-298〜299 3,000円(税別)2017/8/2発売
新垣恵(花笠節〜安里屋節/白雲節/白瀬走川節)/石川陽子(まんぶり節/夢の唄/情念)/山城香(我肝染まてぃ/肝知らし節/渡海ふぃじゃみ節)/堀内加奈子(世宝節/恋小花/下千鳥)/MINA(うんじゅが情どぅ頼まりる/遊びションガネー/娘ジントーヨー)/長嶺ルーシー(片想い/百名節/夜啼き鳥)/全員(ナークニー〜カイサレー)