箆柄暦『二月の沖縄』2017

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箆柄暦『二月の沖縄』2017
2017年2月1日発行/166号

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《Piratsuka Special》
長編ドキュメンタリー映画
『カタブイ−沖縄に生きる−』

沖縄に魅了された移住者からのラブレター。

 今月、那覇の桜坂劇場で、長編ドキュメンタリー映画『カタブイ─沖縄に生きる─』が上映される。監督は沖縄在住のスペイン系スイス人で、映像作家・写真家のダニエル・ロペス。2003年から沖縄に暮らし、沖縄を深く愛する彼が制作した本作は、「沖縄のアイデンティティを大切にして生きる人たち」へのインタビューを通して、「自分はなぜこんなにも沖縄に惹かれるのか?」という問いへの答えを探すものだ。これは「沖縄へのラブレター」であり、また「沖縄への恩返し」でもあると、ダニエルは語る。

 「もともと映像や写真は好きだったけど、スイスではプロになるチャンスはなかった。でも沖縄に移住して、大学と大学院で写真や映像を学ぶうち、いろんな縁が生まれて、アートの世界で活動できるようになった。私の人生を変えてくれた沖縄に、この作品で『ありがとう』と言いたかった」

 そしてもう一つ、彼には「沖縄のことを海外の人達に知ってほしいし、沖縄の人にも沖縄の良さを再認識してもらいたい」との思いもあったという。「海外の、特にメディアの人達にとっては、沖縄は基地問題のインパクトが強い。でも私は『沖縄はそれだけじゃない、別の面もある』ってことを伝えたかった。それは沖縄の『人』の素晴らしさ。沖縄の人達に話を聞くことで、私が感じた沖縄の魅力を、観た人と分かち合えたらと思った」

 そうしてダニエルがカメラを向けたのは、10年以上にわたる沖縄暮らしの中、縁あって知り合い、信頼関係を築いてきた身近なウチナーンチュ達だった。たとえば那覇市栄町市場内の居酒屋「生活の柄」店主で、バンド「マルチーズロック」を率いる糸満盛仁や、同じ栄町市場で「おばぁラッパーズ」を結成し、町おこしに取り組む新城利枝子。さらに彫刻家の金城実、空手家の上間康弘、シーサー職人の上原新吾、波上宮宮司の渡慶次馨、琉球舞踊家の宮城茂雄らにも会い、それぞれが自身の活動や暮らしの中で大切にしてきた考え方や、伝統文化のあり方など、「沖縄のアイデンティティ」についてじっくりと話を聞いていった。時には旧盆や葬儀など、家族内の行事にも密着する中で、彼が感じたのは「沖縄の寛容さ」、そして「目に見えない文化を継承し続けることの大切さ」だった。

 「沖縄は他者を受け入れながらも、先祖や自然との絆を大切にして自分達の文化を守ることで、暴力に頼ることなく外からの圧力に抵抗してきた。人が自由であるために大切なのは、翼ではなく根っこ(ルーツ)なんだと気づいたし、自分のルーツについても改めて考えるようになった。今後は、故郷のスイスと沖縄をつないでいく活動ができたらと思う」

 タイトルの「カタブイ」は漢字で書くと「片降い」、「空の片一方は晴れているのに、もう一方では雨が降っている状態」を指すウチナーグチだ。晴れと雨、光と影が交錯し、雨が上がれば虹が出ることもある。そんな光景は、戦争や基地問題に翻弄されつつも、ポジティブに生きる沖縄の人々の姿と重なり合う。この作品を通じて、観る人はそれぞれの中の「沖縄への思い」と向き合うことになるだろう。ウチナーンチュにも移住者にも沖縄ファンにも、ぜひ観てほしい一本だ。
(取材&文・編集部/撮影・喜瀬守昭)

撮影協力:エフエム那覇

 

ダニエル・ロペス
1970年生まれのスペイン系スイス人。2002年の初来沖で沖縄に魅了され、翌年那覇に移住。2006年から沖縄県立芸術大学・同大学院で写真と映像を学び、映像制作や写真撮影に取り組む一方、地元TV番組の司会なども務めた。本作は自身初の長編作品であり、スイス・ドイツ・台湾での上映でも高い評価を得ている。

『カタブイ−沖縄に生きる−』 
2/4(土)〜3/3(金)
桜坂劇場 TEL:098-860-9555

出演:糸満盛仁(​那覇市栄町の居酒屋「生活の柄」店長)/上原新吾(糸満出身の魔よけシーサー職人)/上間康弘(沖縄少林流空手道協会守武館館長)/金城実(彫刻家)/新城利枝子(栄町​オバーラッパーズ・カメーオバー)/渡慶次馨(波上宮宮司)/宮城茂雄(​琉球舞踊師範)

2/04(土)〜2/10(金)13:00/19:30
2/11(土)・2/12(日)12:00/19:40
2/13(月)〜2/16(木)12:50/19:00
2/17(金)11:50/17:40
2/18(土)休映
2/19(日)休映
2/20(月)〜2/24(金)18:50
2/25(土)〜3/03(金)12:30
※初日13:00回後に舞台挨拶&ミニライブあり

●舞台挨拶&ミニライブ
2/4(土)初日13時の回終了後(14:20頃より)
ダニエル・ロペス監督の舞台挨拶と、映画のキーパーソンでもあるマルチーズロックの糸満盛仁と糸満あかねを中心としたミニライブ開催。
登壇:ダニエル・ロペス(監督)/マルチーズロック(糸満盛仁・糸満あかね)他