箆柄暦『八月の沖縄』2016

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箆柄暦『八月の沖縄』2016
2016年8月1日発行/160号

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《Piratsuka Special》
我那覇せいら
『故郷(ふるさと)』

私の歌が、あなたの心の故郷になれたなら。

 華やかな紅型の衣装に、明るくチャーミングな笑顔。きりりとして力強くありながらも、どこか温かなぬくもりと郷愁を感じさせる清らかな歌声。沖縄ポップスと民謡をメインフィールドに活動する恩納村出身のシンガー・我那覇せいらが、この夏、りんけんバンドのリーダー・照屋林賢のプロデュースで、初のソロアルバム『故郷(ふるさと)』をリリースする。

 せいらは今年でデビュー6年目。この道に入ったのは、林賢が手がける沖縄ポップスユニット「ティンク ティンク」の新メンバー募集がきっかけだった。もともと琉球舞踊を習っており、舞台に立つことも歌うことも大好きだったが、芸能界とは特に縁がなく、「人を癒したい」という思いからリラクゼーション業界に就職。23歳のとき、たまたま知り合った林賢から「歌ってみない?」と誘われ、歌手への転身を決意した。その気持ちを、せいらは「歌でなら、もっとたくさんの人を癒やせると思ったんです」と語る。

 「リラクゼーションは一対一で人を癒す仕事だけど、歌なら一度に百人とか千人とか、多くの方に私の歌声を届けて、元気になってもらえるかもしれない。そこに魅力を感じました。最初は民謡もウチナーグチもほとんどわからないし、プレッシャーもあったけど、とにかくがんばってみよう、と」

 歌の世界に飛び込んだせいらは、北谷町美浜にあるライブハウス「カラハーイ」のステージに立ち、毎日のように歌い続けた。その中で歌への思いは次第に深く、強くなっていく。「この先も一生歌っていきたいし、歌詞も自分で書きたい。そのためにも、自分の個性をもっと打ち出したい」。そう考えた彼女は2年前、ユニットを卒業してソロになることを決める。同時にアルバムの準備にも取りかかったが、そこで大きな壁に突き当たった。

 「一人になって初めて、それまで自分が〝ちゃんと歌えてなかった〟ことに気づいたんです。私は他のメンバーに合わせて、メロディをなぞってるだけだった。これじゃ聴く人に何も伝わらない!と思って、ボイストレーニングをもう一度やり直したり、(りんけんバンドのボーカルである)上原知子さんの歌を間近で聴いたり、民謡と三線も専門の先生について習ったりと、イチから歌の練習に取り組みました。そうするうち、〝自分の歌〟がだんだんと形になってきたように思います」

 そんな奮闘を経て1年がかりで完成させたソロアルバムには、リズミカルなポップスから叙情的なバラードまで、全九曲を収録。うち6曲ではせいら自身が作詞を手がけ、歌や大切な人に寄せる思いを、ウチナーグチを交えながら素直な言葉で綴っている。ポップなサウンドとキャッチーなメロディにのり、伸びやかに舞う歌声は、夏の島に涼を呼ぶ爽やかな風のようだ。せいらは「これが今の私のありのままです」と微笑み、作品への思いと今後の抱負を語ってくれた。

 「『故郷』というタイトルのとおり、この作品が聴いてくれる方の心の拠り所、心の故郷になれたら嬉しいですね。これからも自分の歌を磨いて、もっとたくさんの方にいい歌を届けられるようになりたいです」

(取材&文・高橋久未子/撮影・喜瀬守昭)

 

我那覇せいら(がなは・せいら)
沖縄県恩納村出身。6歳から琉球舞踊を習う。2011年にティンク ティンクに加入。2014年からソロシンガーとして活動開始。現在はカラハーイを中心に、県内外でライブを行っている。

『故郷(ふるさと)』
アジマァ Rinken-2045 2,484円(税込) 2016/8/31発売
ユイヤサ!/故郷/おばーのうた/ホシズナ/歌ぬ生まり所/生まれた故郷で/朝陽/村のお祭り/歌や咲ちゅる/ユイヤサ!(カラオケ)/村のお祭り(カラオケ)