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箆柄暦『一月の沖縄』2014 国立劇場おきなわ開場十周年

2013.12.28
  • インタビュー
箆柄暦『一月の沖縄』2014 国立劇場おきなわ開場十周年

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箆柄暦『一月の沖縄』2014
2013年12月31日発行/129号

《Piratsuka Special》
国立劇場おきなわ開場十周年
歌舞劇『今日ぬ誇らしゃや』

《Piratsuka Topics》
金城弘美『ゆらら』
国立劇場おきなわ開場10周年記念特別公演
街フェス『Sakurazaka ASYLUM2014』開催決定
映画『カラカラ』DVD発売
ミュージカルプレイ『沖縄燦々』
プロ野球キャンプ2014
「箆柄暦アプリ」を使ってみよう
渋さ知らズオーケストラ×首里劇場

 

 

 

《Piratsuka Special》
国立劇場おきなわ開場十周年
歌舞劇『今日ぬ誇らしゃや』

沖縄の伝統芸能を未来につなぐ。

 沖縄では、琉球王朝時代に中国皇帝の使者をもてなすため上演された歌舞劇「組踊」や琉球舞踊をはじめ、琉球古典音楽・民謡等の三線音楽、明治以降に庶民の娯楽として発展した沖縄芝居、エイサーのように各地域に根付いた民俗芸能など、バラエティ豊かな伝統芸能が数多く生まれ、今日まで脈々と受け継がれてきた。

 それらをジャンルを問わず定期的に上演するとともに、次の世代にその無形のわざを引き継ぐべく、実演家の養成研修など継承の土台作りにも取り組んできたのが、二〇〇四年に浦添市にオープンした「国立劇場おきなわ」だ。同劇場では、これまでも多くの人に伝統芸能に親しむ機会を提供してきたが、開場から十年目となる今年は特に「開場十周年記念特別公演」と銘打ち、全十回の自主公演を企画している(詳細は中ページ参照)。その皮切りとなるのが、一月二五日・二六日に上演される新作歌舞劇『今日ぬ誇らしゃや』だ。

 この作品は一七〇〇年代初頭の琉球王国を舞台とし、「組踊」という芸能が誕生するまでの道のりを軸に展開する物語だ。琉球の若者達がさまざまな困難を乗り越えながら人生を切り拓いてゆく様を、中国と日本の間で揺れ動きつつも一国家として生き抜こうとする琉球王国の姿と重ね合わせて描くもので、脚本は芥川賞作家・大城立裕の書き下ろしによる新作となる。演出を務めるのは国立劇場おきなわの芸術監督にして、実演家としても若手ホープと目される嘉数道彦。音楽は人間国宝の照喜名朝一が担当し、独唱で同じく人間国宝の城間?太郎と西江喜春が参加する。

 そして出演陣も、人気役者の平良進(組踊創始者の玉城朝薫役)を中心に、若手からベテランまで琉球芸能界の実力派がずらりと顔を揃え、どこをとっても〝見どころ、聞きどころ〟が満載の構成となっている。ドラマティックなストーリーを楽しみながら、踊りや所作の流麗さ、ウチナーグチの響きの美しさ、歌三線の素晴らしさなど、沖縄の伝統芸能の魅力を満喫できるので、こうした舞台を見るのが初めての人にとっても、うってつけの一作といえる。

 とはいっても「言葉の意味がわからないと面白くないのでは?」と不安の向きもあるかもしれないが、その点は心配無用。国立劇場おきなわの自主公演は、台詞や歌詞の内容がすべてステージ両脇の字幕に表示されるので、ウチナーグチがわからなくても、物語の流れや歌に込められた思いをスムーズに理解することができる。

 今回、主要キャストとして若侍と村娘を演じる若手実演家の三人は、
「共演する先輩方からもいろいろと学んで、見た方に喜んでもらえる舞台にしたい」(写真左・佐辺良和)、
「十周年記念公演ならではの晴れやかさを楽しんでいただけたら」(写真右・宮城茂雄)、
「方言がわからない方にも、沖縄の芸能の素晴らしさを伝えられるようがんばりたい」(写真中央・知念亜希)

と、意気込み十分で稽古に励んでいる。これまで組踊や琉球舞踊を見たことがない方も、この機会にぜひ国立劇場おきなわに足を運び、華やかな舞台の世界をじっくりと堪能してみてはいかがだろうか。
(取材&文・高橋久未子/撮影・喜瀬守昭)

◆佐辺良和(写真左)
 宮城茂雄(写真右)
 知念亜希(写真中央)

◆国立劇場おきなわ開場10周年記念特別公演
 歌舞劇『今日ぬ誇らしゃや』
日時:2014/1/25(土)開演18:30
   2014/1/26(日)開演14:00
会場:国立劇場おきなわ(浦添)TEL:098-871-3350
料金:一般3,500円 友の会会員2,800円
※那覇市内各所から無料送迎バスも利用可能
※2月以降の記念特別公演[参照]