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箆柄暦『九月の沖縄』2013

pira1309_hyo250箆柄暦『九月の沖縄』2013
2013年8月31日発行/125号

《Piratsuka Special》
金城恵子

《Piratsuka Topics》
上間綾乃『ニライカナイ』
coba洞窟コンサート『マブイオト』
『笑々・メンソーレ寄席2013』
Naoto Hiroki & Karatesystem『Travel Sound』
島袋優ライブ
山之口貘生誕110年・没後50年イベント
熊本『琉球の風2013』
島袋寛子『私のオキナワ』
『風水の祝』
DVD『スケッチ・オブ・ミャーク』

 

 

 

Piratsuka Special
金城恵子
『想い』

沖縄の昔歌に託した“想い”。

 芸歴四十年を超えるベテラン唄者であり、情歌を歌わせたら右に出る者はいないと言われる実力派、金城恵子。幼い頃から歌好きの父のもと琉球古典音楽と沖縄民謡に親しんで育ち、学校卒業後はいったん美容師を目指すも“民謡が三度の飯より好き過ぎて”仕事が手につかず、歌の道で生きようと決意。当時民謡界の第一線で活躍していた大城志津子に弟子入りし、本格的に歌三線を学んだ。

 そして二三歳のとき、「西武門節」の作詞作曲などで知られる川田松夫から「あなたに似合う歌がある」と新曲『想い』を提供され、レコードデビュー。女性の切ない恋心を艶やかに歌い上げて大ブレイク、続く『あぬよーたいふー』『我ーが判かゆん』などでも色香たっぷりの歌い回しが評判を呼び、沖縄の民謡界に“艶歌”のジャンルを確立した。

 以降、県内では引っ張りだこの人気となり、現在も抜群の知名度を誇るが、対して県外ではこれまで活動の機会が多くなく、また長年新作の発表もなかったため、その実力のほどを知る人は、比較的少なかったように思う。

 その金城恵子が、ついに二二年ぶりにソロアルバム『想い』を新録音、全国に向けてリリースする。彼女自身「今の私があるのはこの歌のおかげ」というタイトル曲「想い」から始まる本作には、「白雲節」「ナークニー」といった民謡の定番、「愛の雨傘」「二見情話」など男女のコンビ歌、「ヒヤミカチ節」「嘉手久」のような早弾き曲など、彼女が選んだ全一六曲が収録されている。

 コンビ歌の相方には、旧知の田場盛信と、今回初めての顔合わせとなる徳原清文、二人のベテラン勢が参加。彼女は「久しぶりの録音で、最初から最後まで三線も全部弾いて、太鼓も叩いて、もう大変でした」と笑うが、その中身は自身も「私の宝物になりました」と喜ぶとおり、実に充実した内容になっている。

 まず一聴して耳を奪われるのが、その情感豊かな歌声の艶やかさだ。従来からの持ち味である色っぽさに、年齢を重ねたがゆえの深みが加わり、節回しの確かさと相まって、たおやかな中にもどっしりとした存在感を醸し出している。そしてさらに驚かされるのは、圧倒的な三線のテクニック。特に早弾き曲での音の粒立ちの良さは驚異的で、ここまで的確に弾きこなせる人は、男性演者でもそうそうは多くはいないだろう。歌はもちろん、三線も聞き応え十分の一枚なのである。

 ただ、彼女自身は「民謡はどれも好きだけど、一番好きなのはウチナーカジャー(沖縄の匂い)のする昔の情歌」だと語る。
 「私は今の歌はわからないから、歌うのはみんな二五年以上前の歌ばかり(笑)。でも、これが本当のウチナーの歌なんですよ。ヤマト(日本)の方にも、ぜひ聞いてもらえたらと思います。これからもいい歌をたくさん歌って聞かして、(聞く人を)喜ばしたいですね」

 そんな彼女の生歌三線は、今月一四日に千葉の沖縄料理店「琉球」で楽しめるほか、普段は宜野湾市の民謡スナック「おとめ」で聞くことができる。アルバムを堪能した後は、ぜひ店へと足を運び、本物の“ウチナーカジャーする情歌”の魅力を味わっていただければと思う。
(取材&文・高橋久未子/撮影・喜瀬守昭)

金城恵子(きんじょう・けいこ) 1948年、具志川市(現うるま市)生まれ。1971年「想い」でレコードデビュー。現在は宜野湾市の民謡スナック「おとめ」(t098-897- 7685・火曜休)を中心にライブを行っている。

◆金城恵子『想い』
リスペクトレコード RES-230
3,000円 2013/9/4発売
想い/白雲節/十七八節/ヒヤミカチ節/水んむらさん二人が仲/サーサー節/義理の苦りさ/恋忍心/嘉手久/嘆きの渡り鳥/綾心/二見情話/愛の雨傘/下千鳥/ハワイ便り/ナークニー〜カイサーレー

◆金城恵子『想い』発売記念ライブ
2013/9/14(土) 琉球(千葉県市原市)0436-62-3040