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箆柄暦『七月の沖縄』2010 チアキ

2010.07.01
  • インタビュー
箆柄暦『七月の沖縄』2010 チアキ

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箆柄暦『七月の沖縄』2010
2010年6月30日発行/087号

 

《Piratsuka Special》
チアキ
沖縄の空気感と都会派サウンドが融合した“チアキの歌”

 沖縄を拠点とするポップスユニット「しゃかり」のボーカルとして、透明感のあるポジティブな歌声でいまの沖縄を表現し続けるシンガー、チアキ。一方、八〇年代から日本の音楽シーンの第一線で活躍し、プロデューサーとしても数多くのヒット曲を世に送り出してきたアーティスト、角松敏生。一見、活動の場が異なるようにも見える二人が、この春、タッグを組んで一枚のアルバムを発表した。タイトルは『CHIAKI』、名前通りチアキのソロデビューアルバムだ。角松が全面プロデュースを担った意欲作だが、もともとこの企画は約五年前、二人が出会った当初から角松に提案されていたものだという。

 「角松さんとは、彼が音楽を手がけた映画の主題歌でデュエットしたのが最初ですが、そのときから私の歌を気に入って僕にチアキをプロデュースさせてほしいって言ってくださってたんです。実は当時、しゃかりの活動は行き詰まりかけていて、私自身もシンガーとして迷い、もがき苦しんでいた時期でした。だからこそ、角松さんに声を掛けていただいたときは、自分の存在や、しゃかりがこれまでやってきたことが認められたと感じられて、本当に嬉しかった。歌を続けていてよかった、と思いました」

 ただ、その時点ではしゃかりの活動との兼ね合いもあり、企画はすぐには実現できなかった。代わりにチアキは角松の全国ツアーにコーラスとして参加し、角松との信頼関係を深めつつ、ボーカルの技術を磨いていく。そしてすべての準備が整ったこの四月、満を持してのアルバムリリースに至ったのである。

 今作に収録されているのは、AOR、ディスコ、バラード、沖縄風メロディなど角松が提供した多彩なオリジナル八曲と、しゃかりのカバー一曲、そして沖縄民謡「浜千鳥」のカバーの全十曲。いずれも角松ならではのダンサブルなリズムや練り込まれた音作りが印象的だが、チアキはそのハイクオリティなサウンドと堂々と渡り合い、伸びやかにハツラツと、引き締まった美声を響かせている。癒し系のしゃかりとはひと味違った、チアキの新たな表情がたっぷり詰まった本作は、角松曰く「チアキという幕の内弁当」。チアキ自身も出来には手応えを感じていると語る。

 「このアルバムでは、楽曲の質の高さはもちろんですが、もう一つ沖縄と都会の融合という部分もぜひ聞いてもらえたらと。サウンドやメロディは都会的な正統派ポップスなんだけど、そこに私の声という沖縄の空気感が混じり合うことで、いい化学反応が起きていると思うんです。だから聞いた人が普通のポップスとはどこか違うなって感じて、その理由がチアキが沖縄のシンガーだからだと気づいてくれたら、すごく嬉しいですね」

 八月末から始まる東名阪ツアー「チアキ、都へ行く」では、角松はじめ都の凄腕プレイヤー達が集結し、彼女を全面バックアップ。ソロシンガー・チアキの新たな魅力が炸裂する、これまでにないステージになりそうだ。

 「この経験は、今後のしゃかりの活動にも必ず生きてくるはず。そのためにも、歌に対していつも真摯に向き合うことを忘れずにいたいです」
(取材・文/高橋久未子)

 

チアキ 1972年、北谷町謝苅(じゃーがる)生まれ。1993年、沖縄ラテンバンド「ディアマンテス」のコーラスとしてデビュー。脱退後の98年に沖縄ポップスユニット「しゃかり」を結成。2006年に角松敏生とのデュエット曲「Smile」をリリース。現在はしゃかりのほか、歌劇舞台や角松敏生のツアーにも参加するなど活動の幅を広げている。

◆チアキ『CHIAKI』
アリオラジャパン TEL:03-3515-5845
BVCL-90 3,059円 2010/4/14発売
Flow of Desire/輪舞〜RON DO〜/1! 2! 3!/I…in your eyes(duet with 角松敏生)/Hasta man〜ana/恋の華/いのち/ナンクルナイビーサ/キレイ キレイ/浜千鳥節